サブリースについて

 弊社で管理契約をお願いしている「㈱マイハウス」からの情報誌に掲載された内容です。
サブリースとは「一括借り上げ」などとの名のもとにアパートの建築から管理までを企業に任せるアパート経営の在り方で大きな社会問題となりつつあります。

相続にと安易にアパート経営をはじめては大きな禍根を残すだけです。
便利な土地がアパート経営に適しているとは限りません、まして不便な土地でのアパート経営は成り立ちません。
これから人口減少の中でもその場所に住みたいと言う需要があり、競争相手のアパートなどが少ないことが必須の条件です。

つくば市でもアパートが乱立していますが明らかに供給が需要を大きく上回っているのが現状です。

サブリース(家賃保証の借上げ)の
トラブルがこの数年で急増している。

国民生活センターに寄せられた苦情相談の件数は、この4年間で245件と倍以上になっていて年々増加しています。また、日本不動産仲裁機構に寄せられる相談でも、2012年からの2年間で130件と急増。  
5月11日にNHKの「クローズアップ現代」でこの問題が取り上げられたことは、今後サブリースによるオーナーの経営破綻が社会の中で注目されてくるのではないかと思います。
「家賃保証」といういかにも聞こえのいい言葉でアパート建築を勧誘され、その結果として事業が破綻するオーナーが増えているという問題がいよいよ表面化してきたといえます。業界紙である「全国賃貸住宅新聞」が、6月1日号から連続4週にわたりこの問題の特集記事を打つてきました。全国的な空室率の上昇によって、家賃保証をしている業者は空室率の上昇と家賃相場の下落を理由に家賃の減額交渉をしてくるケースが目立って増えてきています。市場が供給過剰であることを考えると、それ自体は至極当然であることではありますが、今から10年以上前に建築し家賃保証(サブリース)契約をしたオーナー様は、保証家賃が減額されること自体の説明を受けていないことも多くあります。契約書の条項には小さく書かれていますが、この問題はすでに裁判で争われており、平成15年にサブリース業者の全面勝訴で決着しています。それ以降、法律(裁判所)の後ろ盾ができたサブリース業者は「保証家賃の切り下げ」を堂々とできるようになり、リスクの全てはオーナーの自己責任となることを理解すべきです。

大幅家賃減額交渉と
強引な契約解除が日立つ

近年は、さすがに「保証家賃は減額されることがある」ことを知らない人はいなくなったと思います。それにもかかわらず、銀行への返済ができなくなり競売にかけられてしまい借金だけが残つてしまった等のいわゆる破綻するケースが増えているのはなぜでしょうか。  

新聞記事では、築10年を過ぎた物件のオーナー様のケースで2年前に20%の保証家賃の減額を提示されやむを得ず受け入れたものの、それからたいした時間が経過していないにもかかわらず再び20%の減額を求められたケースが紹介されています。  さらには、半年ごとに3回連続で保証家賃の減額を一方的に要求され、それでは銀行への返済額を大きく下回つてしまうため、やむなくサブリース契約を解除せざるを得なかったケースでは、解約の1ヶ月後には全ての入居者を業者が保証している別の物件に移動されててしまったケースが取り上げられています。入居者ゼロの状況にして保証を打ち切るというこの酷いケースが全国で多発しています。 新聞ではA社とされていますが、家賃保証によるアパート建築の大手の会社で華々しいテレビCMもしています。不動産業界である程度経験がある人ならどこの会社かはすぐにわかる話です。私も2010年頃からA社のこうした信じ難い話は耳にしていました。  保証家賃が切り下げられることは知っていたものの、その切り下げ額が一気に30%以上も下げられる等、事業が継続できないような想定外のものとなっているわけです。建築後10年でそうしたことに直面し、まだ20年近く残っている銀行への返済を考えなくてはならなくなるわけです。A社の場合は、『終了プロジェクト』と呼ばれる内部資料が流失し、その衝撃的な内容が業界と世間の一部では大きな注目を集めました。築10年以上の物件は、サブリース契約を解約するために強気の値下げ交渉をすることが指示されていたからです。値下げではなく事実上の解約交渉をしやすくするためにターゲットにされた物件には、入居者を入れないようにしていたことも他の資料や当時A社で働いていた社員の証言などからも明らかになりました。

サプリース契約に頼り切つてしまうことは
今後は大きなリスク

家賃保証は、残念ながらアパート建築の受注を取るための『トリック』になつてしまっています。

A社のような露骨でひどいやり口でないにしても、保証家賃の切り下げによって賃貸事業が回らなくなってしまうケースは増えてくることが予想されます。サブリース契約が解除された場合でも自立して賃貸経営を行つていけるだけの『大家力』をつけておくことが重要です。
 サブリース(家賃保証)のビジネスモデルは、今後の賃貸市場から考えればすでに成り立たないことは明らかですが、今だに行われているのは、

 ① 業者は会社存続のために建て続けることが必要です。

 ② 破綻しているビジネスモデルの被害者は建築業者(サブリース業者)でも銀行でもなく全てアパート

   建築のオーナーだからです。

 今後、「家賃保証」に頼つてアパート建築をするのは大きなリスクがあることを理解すべきです。業者の熱意?と説明を信じ切って『家賃保証』のアパート建築に乗り出す前に、専門家に相談することが絶対に必要だと感じます。また、『家賃保証』をすでに受けているオーナー様も、『家賃保証の切り下げ』の話しがあつた時には専門家に相談することが重要です。
サブリースによる収益の違い
一括借り上げ、いわゆるサブリースと自身でアパートを管理した場合のアパート収益の具体的な数値を挙げて計算してみました。一括借り上げの場合は礼金、共益費は大家さんには入りません、しかも賃料の全額は大家さんに支払われず約80%を相場として計算しました。それでは新築で20部屋の1LDKで試算してみましょう。
(条件)
 ○部屋数 20室   ○賃料 65000円  ○共益費 3000円  ○入居年数 4年

サブリースの場合
 初年度から賃料 65000円×20室×12カ月の80%ですから
 1248万円・・・・毎年保証するとされた金額です。
          
大家さん自らが管理した場合
 賃料    650000円×20室×12カ月ですから  1560万円
 共益費    3000円×20室×12カ月ですから    72万円
 礼金     65000円×20室     ですから    130万円

  となり  初年度は1762万円
      次年は1687万円

3年目は更新料が入りますので1762万円
4年目は礼金が入ってきますので1762万円

これを年平均で計算すると 1743万円
こうして計算をすると年間495万円でアパートの管理を任せているようなものです。


この計算はあくまで私の経験からですが、この機会に自身のアパートの実態を見直してはいかがですか。
なお、不動産会社にアパート管理を任せた場合は賃料のみの5%ですので、年間1560万円の賃料に対して78万円、また更新料は大家さんと折半とするのが多いようですので年平均32.5万円となりますが、サブリースよりははるかに効率的と言えるでしょう。